お祭り屋台とチョコバナナ?
お祭りの屋台でみかけるチョコバナナですが、屋台でチョコバナナを販売する場合の規制はどうなっているのでしょうか。
1.営業許可・届出制度 2.短期固定型臨時営業 3.短期固定型臨時営業における食品の取扱 4.検討 |
1.営業許可・届出制度
業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売する場合(農業及び水産業における食品の採取業を除く。)は、原則として都道府県知事の許可又は都道府県知事への届出が必要になります(食品衛生法55条、57条)。都道府県条例で許可対象業種についての必要な基準が定められます(法54条)。許可対象は32業種あり(施行令35条)、届出対象からは許可対象32業種と一定の届出対象外営業(施行令35条の2)が除かれます。許可対象業種には飲食店営業のほか販売業(自動販売機、食肉販売、魚介類販売のみ)と製造業が含まれ、お祭りの屋台は簡易な施設を設けて食品を販売するので、「飲食店営業」として許可が必要になりそうです。
但し、出店場所を所管する市町村・都・国・住民団体が関与する等の目的を有する行事(住民祭等)において飲食店行為・食料品販売行為を年5日(原則)以下の日数行う場合は、営業許可を必要とせず、保健所への届出で足ります(「行事における臨時営業等の取扱要綱」別紙2 「臨時出店」の取扱について(地域保健法6条))。
2.短期固定型臨時営業
簡易な施設で一つの行事の開催期間中のみ営業する場合は、短期固定型臨時営業として、以下の基準が適用されます(「行事における臨時営業等の取扱要綱」(平成3年3月26日 2衛生食第589号))。
①営業できる行事
一時的に開催され不特定多数の者が自由に参加できる行事に限られます(地域や産業の活性化を目的とした行事、復興支援や慈善活動を目的とした行事、国際交流を目的とした行事、運動競技を行う行事、音楽・演芸を行う行事等)。
②営業できる場所
行事の開催期間中の会場内で、申請した営業場所(固定店舗としての営業許可を受けられない場所)に限られます。
③許可業種
飲食店営業(臨時)及び菓子製造業(臨時)です。
④許可有効期間
申請した期間(行事開催期間内)になります。
⑤取扱食品 取り扱える品目は1施設につき1品目です。給排水タンク容量が80ℓ以上の場合は複数の品目の取扱が可能です。調理加工の操作が同じであれば1品目扱いとなります。開缶開栓を行うだけの清涼飲料水及び酒類については複数品目の取扱が可能です。
3.短期固定型臨時営業における食品の取扱
①生ものの取扱禁止
生もの(さしみ、生卵、生肉等)や生クリームは取り扱えません。但し、これらを原材料として使用し、加熱処理して提供することは可能です。
②簡単な調理加工のみ可能
調理加工は、簡単なもの(盛り付け、トッピング、飲料や原料粉の混合、事前に仕込んだものを焼く・煮る・茹でる・揚げる・蒸す等の簡易な加熱調理、仕込んだ食材の自動調理器具による調理(コーヒーの抽出等)、タンク容量に応じた器具の簡易な洗浄等)のみ可能です。原材料のカットや下処理等の仕込み行為は、固定店舗としての営業許可を得た施設等で行う必要があります。
③テント形態の施設の特例
テント形態の施設の場合は、提供直前に加熱処理を行わない食品(サラダ、漬物、いなりずし、サンドウィッチ等)を取り扱うことができません。但し、かき氷、飲料類、パフェ、ゼリー、わらびもち、あんみつ等は「喫茶類」として取扱が可能です。
④具体例
簡易な施設で取り扱うことのできる食品の例示が東京都福祉保健局・保健所から公表されています。
これには、「果実チョコ(果実にチョコレートをからめたもの)」も含まれています。
4.検討
①上記1の通り、地域の商店街が主催する祭りは、「住民団体が関与する等の目的を有する行事」に該当しますので、販売期間が年5日以内であれば、食品を販売することについての営業許可は不要ということになります。
②上記2の通り、簡易な施設で地域の商店街が主催する祭りの開催期間中のみ営業する場合は短期固定型臨時営業に該当し、申請した場所及び期間において飲食点営業(臨時)を行うことが可能です。
③上記3の通り、チョコバナナは短期固定型臨時営業において取扱可能な食品の例示に含まれています。但し、テント形態の施設の場合は、提供直前に加熱処理を行わない食品を取り扱うことができないとされています。そのため、祭りの屋台でテントを設置する場合、これが「テント形態」(定義は不明です。)とならないための工夫が必要となりそうです。 実際にはテントで販売されているチョコバナナはよく見かけますが、規制漏れ(もぐり)なのか、保健所との交渉により規制をクリアしているのかは不明です。楽しい夏祭りに欠かせない屋台の食品ですが、食の安全との調整も必要であり、どのような食品を屋台で提供できるかは悩ましいところです。