姓が変わるということ(完)

2月12日、自民党は「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」の全体会合を党本部で開き、選択的夫婦別姓の制度導入の是非を巡る議論を本格化させました。

個人的事情になりますが、筆者は一昨年養子縁組により妻方の姓を名乗る事になりました。

養子縁組の手続きは婚姻のそれに似ており、近くの役所に赴き、一枚の用紙に住所・名前などを記載し、はいる戸籍の筆頭者と第三者それぞれの記名捺印が有れば完了と極めて簡単なものでしたが、その後の苗字変更の手続に時間がかかり大変でした。婚姻ないし離婚にあたり姓をかえることになった当事者(大半が女性です)が同様の手続きに時間を割かれていたのかと考えさせられました。夫婦別姓の導入によりこれらの手続きが軽減されるのであれば、それは好ましいことと思います。

男性は経験していないので知らないことが多いかと思いますので、共有しておきたいと思います。

1.選択的夫婦別姓制度導入反対派の意見について 2.戸籍変更手続き 3.公的制度に関連する手続(以上前号)4.財務に関連する手続5.その他の手続6.いまだに変えていないもの7.結語

4.財務に関連する手続

  1. 銀行口座:時間と手間を取られました。まず銀行側の窓口業務簡素化の流れからか所轄する支店が決まっており、最寄りではない支店に行かねばならず、かつ事前にアポが必須でした。勤めた会社が複数だったので(ありがちですが)複数の銀行に支店の違う複数の口座をもっており、それぞれに手続きを実施するため、一銀行で半日かかることも。またアポに赴くにあたり住民票を持参のこととあるのですが、住民票は新しい氏名しか記載されていないため、姓がかわったことを証明するものとしてマイナンバーカードや運転免許証で足るか?などの確認を行内でやっており、これも時間がかかった要因の一つでした。
  2. クレジットカード/デビットカード:銀行口座の名義変更後の手続きとなります。各カード発行会社のフリーダイヤルがなかなか繋がらないのでこれも一日つぶれました。繋がってしまえば簡単で、電話で趣旨を説明し変更届出の用紙を送ってもらうことで足ります。
  • その他の手続
  • 電気・ガス・水道:クレジットカードと同様に、繋がらないフリーダイヤル、漸く繋がり変更届出用紙請求になりました。
  • 携帯電話会社:フリーダイヤルが全く繋がらず、最寄り駅のショップに出向きました。担当者多忙とのことで数日後にアポをとり、出直して手続きしました。
  • ケーブルテレビ:フリーダイヤルが簡単に通じ、趣旨説明すると電話にて名義変更は完了。後日引落し銀行口座の用紙が届きました。
  • 生命保険会社:繋がらないフリーダイヤル、趣旨説明からの変更届出用紙請求。
  • 損害保険会社:フリーダイヤルが簡単に通じ、趣旨説明からの変更届出用紙請求。
  • 各種サービスカード(エアライン、JAF、など):クレジットカードと同様に、繋がらないフリーダイヤル、趣旨説明からの変更届出用紙請求。
  • 身の回り品で氏名を記載したもの。旅行バッグやゴルフバッグのタグなど。
  • いまだに変えてないもの
  • 勤める会社へ報告しましたが、仕事に何も変化はある訳ではないので、結論として社内での呼称、会社でのメールアドレス、名刺のいずれも変更せず。女性もこの例が多いかと思います。
  • 個人のメールアドレス。
  • AMAZONのアカウント。
  • Facebook、LINEなどSNS上の氏名やバンドルネーム。

7.結語

以上になりますが、どうでしょう? 結構な量の手続きだと思いませんか?

私の様に、歳をとって週に何日か仕事しない日がある、時間的に余裕がある人でも結構な負担となりました。働き盛りの年代の女性には大変な負担となり、仕事含めた社会生活に大きなハンデとなっている事は間違いありません。

先に夫婦別姓によるデメリット(と反対派が考える根拠)を述べましたが、メリット(と賛成派が考える根拠)としては以下が挙げられています。

  • 改姓手続きの負担が軽減される
  • キャリア形成への影響が抑えられる
  • 結婚・離婚を周囲に知られにくい
  • (以上のことも踏まえ) ジェンダー平等が促進される

今回の経験を経て、①と②は、本当にその通りだと思いました。

賛成派に理由があり、一方反対派には納得のいく理由がみつけにくく、かつ、世界の主要な各国で夫婦別姓が認められていないのは日本だけということよりも、夫婦別姓は制度として導入されるだろうと推察し、筆をおきたいと思います。