おこめ券ビジネス、運用益、退蔵益(失効益・・・使い残し益)もある

昨今、おこめ券が話題になっております。このおこめ券、「世間であまり知られていないので知っていただく機会にもなります」なんて農水大臣がおっしゃっていましたが、、、確かに知りませんでした。

貰って嬉しいですね商品券、ハーゲンダッツ引換券なんて頂くと妻は大喜びです。貰う側のメリットとして、まずはかさばらない、貰った側の好みで商品が選べる、しかも使いたいタイミングで使える、使用見込みがなければ換金流通しやすい、なんてところでしょうか。改めて、どういう商品券があるんだろうと俄かに興味がむくむくと湧いて調べてみました。

1.種類 2.発行側のメリット

1.種類

カタログギフトは別として、種類は大別すると、次の3種に分類されるかと思います。

一つは、UC、三菱UFJニコス、JCB、VISAといった信販系が発行する金券代わりのギフトカード。昨今の電子決済の進展でクオカードやSMSの電子ギフトもこの類に入るかと思います。嬉しいのは、有効期限無く、その決済手段を導入している店舗、サービスで使えるので、ほぼお金代わりに幅広く使え、またお金に換えやすいことでしょう。

次いで、個別の企業(企業グループ)が自社商品・サービスの購入に発行しているもの。先ほどのハーゲンダッツ引換券や、広義には株主優待券も含まれるかと。受取る側のニーズや利用目的がはっきりしている場合に、贈る側の想いが伝わりますね。ただし金券価値=換金率としてはニーズと普及度に左右されます。

三番目には、主に業界団体が発行する全国共通商品券。話題のおこめ券やビール・清酒引換券、全国共通百貨店券など。利用側としては前記に分類した2種類の中間にあたりそうです。金券価値=換金率としては全国版なので高く換金しやすい券です。おこめ券以外で面白い物をいくつか発見しましたのでいくつか列記します。

◇すし券、これは送ったことがありまして、大変喜ばれた思い出があります。回らないお寿司は庶民ではなかなか行きづらいところをうまく突いています。

◇お肉のギフト券、お寿司と同様で、高級牛肉となると盆・正月。なかなか普段買うには勇気が要ります。ポスター、A5ランクの黒毛和牛とそそります。

◇こども商品券、通常の券名からするとこども買うの?なんてことになっちゃう。玩具取扱業者の共同出資で発行していて加盟店にはトイザらスや西松屋、アカチャン本舗等ですがタクシーやイオン、JALマイル交換等結構幅広に使えます。出産祝いに困る人やじじばばの財布狙いですね。

◇農協全国商品券、農協系、おこめ券に限りませんでした、全国農業協同組合連合会の発行。農協一家、購買協力者多いんでしょうね。実質的に利用目的が農協購買、JAスーパーやGSスタンド、冠婚葬祭まで幅広に使えるので、おこめ券より汎用性が高く、しかも発行価格全額でお米や野菜が買えます。

2.発行側のメリット

 では発行する側のメリットを再考してみました。

第一には引換商品の売上利益。今回のおこめ券では、税金でおこめ券が購入された段階で使用期間内の引換=米の売上がお約束されるわけです

ついで資金運用メリット。引換使用されるまで発行側がその資金を運用できるわけで、今回のおこめ券で、緊急食糧予算4,000憶円の10%程度しか採用されなかったとしても400憶円~500憶円が速攻で税金から団体に投入されます。ただし、通常の商品券は、資金決済に関する法律(資金決済法)により、その未使用残高の2分の1以上の供託(※)が義務化されており、まるまる使えるわけではありませんが、経年発行額が積み上がると巨額の預かり資産、年数%で運用できれば大きな利益になります。

  • 商品券等の未使用残高(総発行額-総回収額)が基準日(3月末または9月末)において1千万円を超えた場合、未使用残高の2分の1以上の金額を供託するかあるいは銀行と保証契約(保証料が必要)、が義務化されています。

そして退蔵益(=失効益・・・使い残し益)。使用期限を経過、または発効日から10年を経過した後は利益として計できます。おこめ券は2026年9月末までに利用されないと、わずか1年のたたないうちに未使用分は発行団体の利益になっちゃう。数パーセントでも数億になりそうです。期限を設けるなら未使用残高は国庫に戻せと言いたくなりますよね。

 おこめ券以外で使用期限がある代表選手はビール券・清酒券で、現在発行されているのは2031年3月末、注意が必要です。

 オマケは釣銭益。おつり発行が出ないので、些少ではありますが引換利用時の小売店利益に寄与しているでしょう。

以上のように発行側団体・企業としては、引換できる商品の売上利益がお約束されるばかりでなく、運用益や退蔵益も大きいので、発行費用や広告費、包装費用、場合によっては送料まで発行団体が負担しても発行価格=引換可能額で維持できるのが大半なのでしょう。

こう見るとおこめ券に関しては、発行費用や手数料、発行団体の利益をきっちり12%差引いて500円で商品券を買っても440円しか利用できず、加えて、異例の使用期限まで設けられ、期限には未使用残高が発行団体の利益になってしまうような構図なので、税金の使い道として議論が沸き上がるのも仕方ないでしょう。

今回調べる中で、商品券のデジタル化が進むにつれ紙の商品券が縮小していくだろうことや、地方百貨店の廃業が続くなか、かつてのゆうえんち券の廃止のように百貨店券もいずれ無くなるのでは、といった時代の移り変わりも考えさせられる良い機会となりました。