2025年施行予定の改正法(その3)
2025年に施行される予定の法律をまとめました。対応すべき点がないかご確認ください。
1.重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(セキュリティクリアランス法)2.育児介護休業法改正(以上前号まで)3.雇用保険法・子供子育て支援法改正4.建設業法改正5.流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法改正6.情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)改正7.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律上の雇用継続措置の例外の廃止 |
3.雇用保険法・子供子育て支援法改正(主に2025年4月1日施行)
多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等や共働き・共育ての推進等を目的として雇用保険制度の以下の点が改正されました。
(1) 雇用保険の適用対象となる労働者(一般被保険者)は、1週間の所定労働時間が20時間以上で同一事業者に継続して31日以上雇用される見込みがあることが必要であったところ、1週間の所定労働時間が「10時間以上」の労働者が含まれることとする(雇用保険法4条1項、6条1号、2号)。(2028年10月1日施行)
(2) 自己都合退職者が失業給付(基本手当)を受給する場合の給付制限期間(待機期間(7日間)満了の翌日から原則として2ヶ月間)が、退職間又は退職後にハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合には解除されることになります(雇用保険法21条、33条1項)。また、通達により上記給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました(2025年4月1日施行)。
(3)教育訓練支援給付金(一定の教育訓練の受講のために支払った費用の一部に関する給付金)の給付率の上限を70%から80%に引き上げる(引き上げの内訳は、専門実践教育訓練を受け且つ賃金が上昇した場合の10%の追加給付及び特定一般教育訓練を受けて資格を取得し且つ就職等した場合の10%の追加給付)。(2024年4月1日施行)
(4) 雇用保険の被保険者(被保険者期間5年以上)が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、離職時の基本手当(失業保険)に相当する額の給付として、賃金の一定割合を支給する「教育訓練休暇給付金」(給付日数は被保険者期間に応じ90日、120日、150日のいずれか)を支給する。(2025年10月1日施行)
(5) 育児休業給付に関する国庫負担割合(本来1/8だが(雇用保険法66条1項4号)暫定措置として1/80(雇用保険法附則14条))を本来の1/82引き上げ、保険料率(雇用保険率のうち雇用保険法の規定による育児休業給付に要する費用に対応する部分の率)を2025年度から現行の0.4%から.5%に引き上げる(但し、実際の料率は保険財政状況に応じて弾力的に調整し、現行料率も維持可能)(国庫負担割合は2024年5月17日施行、保険料率は2025年4月1日施行)
(6) 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に被保険者とその配偶者の両方が「14日以上」の育児休業を取得する場合には、「最大28日間」休業開始前賃金の13%相当額が「出生後休業支援給付金」として支給する(現行の育児休業給付(67%)と併せて「給付率80%」へ引き上げられることとなるが、給付は非課税であり育休中は一定の要件の下に社会保険料が免除されるため、「給付率80%」は育休前の手取り額と比較しても実質10割相当になる。配偶者が専業主婦(夫)である場合やひとり親家庭の場合などは、配偶者の育児休業の取得がなくても出生後休業支援給付金は支給(給付率の引上げ)される。)。(2025年4月1日施行)
(7) 被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合は、「育児時短就業給付」(時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当額)(育児時短就業給付)を支給する。(2025年4月1日施行)
(8)その他の改正については、以下の通りです。(2025年4月1日施行)
・雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付(雇用機会が不足する地域における給付日数の延長)、教育訓練支援給付金の暫定措置を2024年度末から2026年度末まで延長する。教育訓練支援給付金の給付率を基本手当日額の「80%」から「60%」に引き下げる(介護休業給付に係る国庫負担割合を1/80とする暫定措置も2年間延長)。
・就業促進手当を廃止する。就業促進定着手当の上限(基本手当支給残日数の40%相当額(再就職手当として支給残日数の70%が支給された場合は30%相当額))を一律に基本手当支給残日数の「20%」相当額に引き下げる。
・雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例の暫定措置(90日~150日→90日~330日)及び地域延長給付付(雇用機会が不足する地域における給付日数の延長)の暫定措置を2024年度末から2026年度末まで延長する。
・60歳に達した日が2025年4月1日以降の場合、高年齢雇用継続給付(60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の一般被保険者に支給される給付)の給付率を引下げる(賃金低下率が64%以下の場合は各月に支払われた賃金額の10%、賃金低下率が64%超75%未満の場合は各月に支払われた賃金額の10%から0%の間で設定される率)(現行は、賃金低下率が61%以下の場合は各月に支払われた賃金額の15%、賃金低下率が61%超75%未満の場合は各月に支払われた賃金額の15%から0%の間で設定される率)。