車中泊ブーム
車中泊を始めて
最近、ここ十年来地道にやってきた焼き芋屋を廃業することにしました。プロ用の焼き芋機が老朽化したことと、機材を運ぶ電動スロープ付き車も13年15万キロ走り次の車検に躊躇したことです。そもそも焼き芋屋を始めたのは、会社を退職したら元気なうちに平成寅さんと称して全国を回る夢を描いたことからです。赤字にならない程度の値段設定としたところ、地元商業団体の半ばボランティア営業に重宝され、常に黒字だったので事業としては長続きしました。
一昨年脱臼リハビリに始まり帯状発疹発症、後遺症の坐骨神経痛と体を動かすことにも難渋する事態が相次いでおり、改めて後10年動き回れるだけ動き回りたいと切実に思うようになり長距離フェリーにこだわる旅など始めました。
そのなか、意を決してこの春手に入れたのが軽キャンピングカー。軽トラの荷台にFRP製断熱キャビンを組み付けた代物ですが、アクリル網戸付き窓、給排水キッチン、独立のクーラーとヒーター、電子レンジに冷蔵庫、テレビ、電動オーニングと至れり尽くせりのフル装備で、冬の北海道でも楽に車中泊ができる走るワンルームです。大容量のリチウム電池搭載が大きく寄与しています。好き勝手なところにらくちん移動して自分の時間で過ごそうという魂胆です。
走りも設備も余裕あるハイエースクラスをベースにした車が欲しかったのですが軽く1千万円を超えるので、軽自動車ベースとして、まあ、走りはスローライフでいいやと割り切りましたが、それでも価格からするとプリウスが楽に買える値段、清水の舞台でした。公共交通機関を使って良い料理旅館を泊まり歩いた方が安上がりじゃないのと女房に笑われましたが、 気ままな旅ができるところで、結構気に入ってくれたみたいです。軽で屋根がポップアップできる形式のメリットとしては、普段使いができ、ショッピングセンターの立体駐車場にも楽に入れるので使い勝手がとても良いところでしょうか。
早速、朝霧高原のオートキャンプ場と北九州の道の駅という2パターンで車中泊を試したわけですが、コロナ騒動後、世間は車中泊の大ブーム、どちらも平日なのに大盛況でした。時間に縛られない自由旅をする熟年層、ペット連れにとって特に有用なのでしょう。
朝霧高原のケースは、普段同型車でSNSやYoutube発信しているメンバーが集まったオフ会イベントですが、なんと同型車種が110台も大集合。ネットつながりがリアルで会うと、旧知の友人のように垣根無くあっという間にコミュニケーションし、煮炊き生活できる環境にびっくり、これは事業でも使えるなあ、と良い勉強になりました。
もう一方の道の駅車中泊。道の駅や高速道路のSA、PAは、基本仮泊エリアなので、車外に机や椅子を出したり、外で煮炊きしたり、エンジンかけっぱなしで暖冷房するなどは遠慮すべきで、ひたすら利用者の良心に頼る場面となります。さすが日本人、利用した駅では停める位置から暗黙に調整しあっていて、皆さんわきまえ良く静かな環境でゆっくりと一夜を過ごすことができました。伝え聞くところではキャンプ場まがいの利用や騒音・ごみなど一部のマナーの悪い利用者が居た為に車中泊禁止の場所が増えつつあるとか。綺麗なトイレをお借りし水道も自由に利用できる環境を許していただいている地元の方に運営上の迷惑をかけることなく、喜ばれる利用を自らも実践せねばと改めて思いました。
車中泊の準備を進める中で、こういった需要が膨らむにつれ、RVパークなど安心して宿泊利用できる設備運営やキッチン関係など社内用品、冷暖房や断熱の装備関連用品の新しいマーケットが開け、十分採算の取れる取扱量がありそうで、新しい事業展開を閃くには、その時々の流行に臆せず飛び込んで経験することが大事だなあと感じた車中泊経験でもありました。