姓が変わるということ(その1)
2月12日、自民党は「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」の全体会合を党本部で開き、選択的夫婦別姓の制度導入の是非を巡る議論を本格化させました。
個人的事情になりますが、筆者は一昨年養子縁組により妻方の姓を名乗る事になりました。
養子縁組の手続きは婚姻のそれに似ており、近くの役所に赴き、一枚の用紙に住所・名前などを記載し、はいる戸籍の筆頭者と第三者それぞれの記名捺印が有れば完了と極めて簡単なものでしたが、その後の苗字変更の手続に時間がかかり大変でした。婚姻ないし離婚にあたり姓をかえることになった当事者(大半が女性です)が同様の手続きに時間を割かれていたのかと考えさせられました。夫婦別姓の導入によりこれらの手続きが軽減されるのであれば、それは好ましいことと思います。
男性は経験していないので知らないことが多いかと思いますので、共有しておきたいと思います。
1.選択的夫婦別姓制度導入反対派の意見について 2.戸籍変更手続き 3.公的制度に関連する手続(以上本号)4.財務に関連する手続5.その他の手続6.いまだに変えていないもの7.結語 |
1.選択的夫婦別姓制度導入反対派の意見について
同制度の導入可否については賛成・反対それぞれが論陣をはっています。
反対派の意見は大別すると以下になる様です。
- 相続や公的サービス(所得税、相続税・贈与税の控除など優遇・特例)を受けられない。
- 子供の姓を夫婦のどちらとするべきか選択が難しい。
- 日本伝統の「一つの家族」という家族観が薄れる。
まず ①は法律整備の問題なので反対の根拠になりません。関連法令の変更になりますから、それは行政の側に大変な作業が生じる訳ですが、平成の時代から既に民法の改正案は審議をされてきており、準備は出来ているはずです。乱暴な言い方をすれば、法律改正を大急ぎで整備して、既存の公的書類の記載欄を変更し、また制度の抜け落ちを防ぐ特例適用を設ければ、対応は可能になります。
②は制度を導入した諸外国の例を研究して決めればよい。夫婦と子供本人がよく相談して決めるという例が通常の様です。③は家族観って何?とお聞きしたいところです。制度を導入した諸外国でも当然家族観はあるでしょう。筆者の知るところでは家族観が強いと思われるタイや韓国でも選択的夫婦別姓を採用しています。インドネシアやベトナムは、そもそも苗字がありませんが家族観は強いと思います。
2.戸籍変更手続
養子縁組の届出により戸籍謄本が変更され、新しい姓となった住民票が発行されます。これが姓がかわったことの証明書となります。養子と養親の所在地が同じで有れば2週間程度で、違う場合は1か月程度で、発行されます。
- 公的制度に関連する手続
- マイナンバーカード:手続きは区役所で養子縁組届出したら自動的に進みます。区役所から連絡を貰い新カード交付を受取りに行きます。なおカード自体は変わらず新しい氏名が表面下部に追加記載されるのみでした。
- 実印の作成と印鑑証明書:実印を作り直すので、同じ区役所でも自動的にとはいきません。別途手続きしました。
- 運転免許証:手続きは警察署。免許の有効期間まではカードは変わらず新しい氏名が裏面に記載されるのみ(要眼鏡などと同じ感じ)です。次回更新の後は、証面に新しい名前が記載されるとのことでしたが、ちょっと拍子抜けでした。
- パスポート:手続きはパスポート発行センター。有効期間がいくら残っていても有無を言わさず更新と全く同じ手続きになります。写真も撮り直し(苗字かわっても顔は変わらないと思うが)、印紙も購入し、発行まで一週間程度待つことになります。
- 社会保険:会社に手続きを依頼しました。発行まで一か月程度。国民保険加入の方は自ら手続きを行う必要があります。
- 年金機構:マイナンバーカード変更に伴い自動的に、とはならず、所轄の年金事務所に連絡し用紙を送付してもらい手続きしました。