実践的新規創業のこころ

総務や人事のアウトソーシング会社にいたことがあります。消費税率が上がり、親会社のコスト削減の影響で受託業務売上げが徐々に減少し、フライパンでじわじわ焼かれるカエルの状況になりました(カエルの調理法は人様々ですが)。そこで社長が一念発起し、「自力で稼げるベースを作ろう、チョウザメやマグロの養殖でも構わん。」との大号令のもと、全社員揚げての新規事業・多角化推進のアイデアを検討することと相成りました。もっとも、チョウザメやマグロの養殖は、社長は本気で言っていたものの、一旦事故が起これば数千万円の投資がパーになることがわかり、リスクマックスなので乗り出せる事業ではありませんでした。・・・ここまでは余談です。

 さて、新規創業のココロといえば、一般的には、「思い入れと差別化できるスキルやノウハウをベースにどうしてもやってみたい事業を最適な投資収益計算やマーケットを推し量って実現する」みたいなアプローチになろうかと思います。ラーメン専門店、(退職後の)蕎麦屋、パン屋さん、ペットのトリミング等、いろいろやってみたい事業があって、夢と希望がありますよね。

 ところが、「何かしたいんだけど、何かしなきゃいけないんだけど」と考えて世の中にあふれる「オススメ創業事業」を捜してみても、マーケットがもうできあがっているとか、過去にも検討したことがある、みたいな事業がほとんどで、暗い穴に落ち込みます。例えば、「コンビニ、コインランドリー、カフェFCチェーンは、過去にも検討したし、確かに投資や体力をかければある程度できそうだけども、たくさん投資をするだけの夢や楽しみがあまりないしリスクもあるよなあ。」といった具合です。

そこで、実践的な「新規創業のココロ」を考えてみたいと思います。それは、事業計算抜きで、自分の生活で欲しいサービスって何かなと、考えてみることです。飲みネタみたいな感覚でフリートークしていると意外と話が咲きます。ワイガヤの力とでもいいましょうか。私の経験の中から、その一例を以下に紹介します。

  •  公団開発団地

最初に、公団開発団地の話です。田舎を離れて都会の企業に勤め、夢は一戸建てに住むことだが、やっとの思いで夢の公団開発団地の抽選に当選し、社宅を抜け出して引っ越したら町内に同じ会社の人が5軒もあって社宅と変わらん。そんな笑えない苦労を乗り越えて時代を歩んできた人たちが、定年間近になって、ふっと、「免許証返納したらこの町では暮らせないんじゃないか、早めに旧市街か都心のマンションに引っ越した方がいいんじゃないか」などと真剣に悩んでいるなかでの議論であります、これは盛り上がりました。一種低層砂漠とでもいましょうか、雑然として細やかなサービスに欠ける団地生活です。和菓子屋(公団の団地にはお赤飯や紅白饅頭を頼むのにも苦労)、団地内碁会所、送迎付き貸農園、キャンピングカーレンタル、各宗派寺院モール(医者はあるけど)、(免許返上後に困らないよう)総菜屋・魚屋・肉屋・八百屋・花屋・街食屋を店舗を分けてワンセットで開発するショッピングモール、レンタルカートステーション等、次から次へと「あったらいいもの」が出ます、出ます。

(次回に続きます)

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(実践的「新規創業のココロ」の続きです。)

前回のお話

 ~事業計算抜きで、自分の生活で欲しいサービスって何かなと、考えてみることです。飲みネタみたいな感覚でフリートークしていると意外と話が~

  •  ペット関連

次に、ペット関連です。同じ世代が一斉にリタイアし、朝ゆっくり散歩を楽しみたいお父さんたちには大変な重労働です。たまには息抜きで何時間か預ってくれるドッグランや散歩代行があれば、そのすきにちょいとカフェタイムもできます。シニア料金で旅行放題するときのペットホテル、安心して任せられる身近なペットの葬儀や墓苑、気楽に犬を洗えるペットウォッシュ場、ペットと一緒にゆっくりできるカフェもあるといい。うーん、確かにこちらもお悩み満載ですね。高度成長期団地の再生計画が出来そうです。

③ 田舎の実家周り

話は広がり、放置した田舎の実家編へ。草刈り・せん定の代行、親の遠隔監視システム、墓参・法事の代行、はたまた郵便受けの回収、家の空気入替えの代行、終活に向けた処分支援や賃貸活用、資産整理を見据えた見回り・点検、云々。やはり共通のお困りごとはあるようです。ビジネスチャンスありますよね。

④ 国産食品

別の切り口では、食をはじめとした国産へのこだわりもあります。60過ぎれば残るは食欲のみか、これまでさんざん不摂生を尽くしたのに身の不安を感じての方向転換か、はたまた長年の妻から受けた啓発の蓄積か、ニーズが高いです。話に出たのが、きくらげ、胡麻、にんにくの98%以上が中国産ということです。バナナやキウイやパパイヤ、アーモンド、コーヒー豆などの農産物の栽培やシナチクや中華ちまきなどの加工品の生産を国内で行えないものでしょうか。

⑤ 専用施設

自分自身のサラリーマン生活との関連でやや悪乗り気味でいえば、会社や上司の悪口が大声で会社の内情が言える専用の居酒屋・カラオケバー・スナック(福利厚生クラブのおばちゃんもママになりたいと言ってました。)があるといいです。専用の出張者用ビジネスホテル(当時は三大都市圏ビジネスホテル代が高騰し予約もひっ迫)、専用の雀荘(福利厚生施設がやめ、近隣の雀荘もやめた)、社内フィットネス、社内保育園、贈答祝花の直接販売(産直業者との提携)等、商売ネタは結構あります。 

「何ができるか」から少し離れて、「何をやれば喜んでもらえるか」という切り口でアイデアを膨らませ、実現性をいろいろ調べ始めると、結構夢が膨らむといいますか、楽しく前向きな思考で取り組めます。実践的創業アプローチとして有効な方法ではないかと思います。 

今回、ちょっとしたノリで記載しました事例をヒントに、何か新しい事業に挑戦してみたいと思われましたら、是非エール・ビジネスコンサルティングにご相談ください。ブレインとしてあなたの夢の実現をお手伝いいたします。

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(実践的「新規創業のココロ」の付け足し第3話です。  

過日記載しましたきくらげ栽培について続編で少しご紹介します。

きくらげは、放置された倉庫やビニールハウス、埋まらないテナントビルの地下倉庫みたいな空きスペースに棚を組んで、お当番が毎日霧吹きでしゅっしゅっと吹けば、にょきにょき生えてきます。特別なノウハウが要らず、余剰人材の有効活用にもなります。そんな目論見から検討を始めました。98%が中国産の乾燥もので、かのリンガーハットさんが国産野菜100%を打ち出した時に困ったのがきくらげだとか。堂々と国内産をアピールできるなら日本経営の中華料理屋で欲しいところはいっぱいあるはずと思い、知り合いのスーパーの役員に伺うと、「安定して出るなら、仕入れたい一品ではある」との嬉しいお言葉をいただきました。地元の産直市場で生きくらげを見ると100g300円を超えるお値段なのに結構人気商品です。高い付加価値で、出口マーケットも確保できそうです。

種苗もあるもので、かなりのシェアを持つ菌床種苗会社がある群馬の桐生に行ってきました。

一株数百円の種苗でモデルは2,000円弱の生産価格です。きくらげはシイタケ生産が止まる夏場に生産できるのでシイタケ農家の裏作としておすすめだそうで、シイタケ併用で一定の株数が置ければ十分に個人事業として生計が立てられそうな感じです。販路の紹介支援もやっていただけるので、創業数年で数千万円の収益が出せそうな夢のある事業に思えました。ではなぜ、国内で浸透しないのか…最大のネックは収穫とパッキングに人手がかかる点だそうです。そういえば、日本一のシェアで高い付加価値の豊橋の大葉もそうだったなあ、と納得しました。ここをうまくさばけるオペレーションが工夫できれば是非チャレンジしたいと思った次第でありました。

 どなたかチャレンジしてみたい方がおられましたら、エール・ビジネスコンサルティングがブレインとしてあなたの夢の実現のお手伝いいたします。