解雇規制と実務上のポイント(その3)
使用者が労働契約を解約(=解雇)する場合、労働契約に期間の定めがある場合と期間の定めがない場合に分けて考える必要があります。以下では、解雇規制と実務上のポイントについて解説します。
1.期間の定めのある場合 (1)契約期間満了に関する民法上の原則 (2)労働契約法による修正 (3)実質無期状態・更新の合理的期待の判断基準 (4)客観的に合理的な理由・社会通念上相当の判断基準 (5)期間途中の解雇 2. 期間の定めのない場合 (1)民法上の原則 (2)労働基準法による修正 (3)労働契約法による修正 (4)整理解雇 (5)就業規則(以上前号まで) (6)その他の規制 3.実務上のポイント (1)解雇のリスク (2)雇用終了合意書の薦め (3)雇用終了合意書で定めるべき事項 (4)退職パッケージ (5)手続の流れ (6)留意点 |
- 期間の定めのない場合
(6)その他の規制
以上のほか、特別な事由による解雇規制があります。
①国籍・信条・社会的身分:差別的取扱が禁止される労働条件には解雇の基準も含まれます(労働基準法3条)
②不当労働行為:労働組合員であること、正当な組合活動をしたこと等を理由とする不利益取扱としての解雇が禁止されます(労働組合法7条1号、4号)
③男女雇用機会均等法:性別を理由とする解雇、婚姻・妊娠・出産・産前産後休業を理由とする解雇、これらを巡る都道府県労働局長への解決援助又は調停の申請を理由とする解雇が禁止されます(男女雇用機会均等法6条4号、9条2項、3項、17条2項、18条2項)
④障害者雇用促進法:障害者の差別的取扱が禁止される「その他の待遇」には解雇も含まれます(障害者雇用促進法35条)
⑤育児介護休業法:育児介護の支援措置(育児休業・介護休業、子の監護休暇・介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等)の利用申出又は利用したことを理由とする解雇、これらを巡る都道府県労働局長への解決援助又は調停の申請を理由とする解雇が禁止されます(育児介護休業法10条、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2、52条の4、52条の5)
⑥短時間・有期雇用労働者法:通常の労働者との待遇の相違について説明を求めたことを理由とする解雇、これらを巡る都道府県労働局長への解決援助又は調停の申請を理由とする解雇が禁止されます(短時間・有期雇用労働者法24条2項、25条2項)
⑦各種労働保護立法:法の違反を監督官庁に申告したことを理由とする解雇が禁止されます(労働基準法104条2項、最低賃金法34条、労働安全衛生法97条2項、じん肺法43の2条2項、賃金の支払の確保等に関する法律14条2項、船員法112条2項、港湾労働者法44条2項等)
⑧個別労働紛争解決促進法:都道府県労働局長への解決援助又は斡旋の申請を理由とする解雇が禁止されます(個別労働紛争解決促進法4条3項、5条2項)
⑨公益通報者保護法:一定条件のもとで公益通報をしたことを理由とする解雇が禁止されます(公益通報者保護法3条)
⑩ハラスメント相談:労働者が事業者に相談や協力したことを理由とする解雇その他の不利益取扱が禁止されます(男女雇用機会均等法11条2項、11の3条2項、育児介護休業法25条2項、労働施策総合推進法30の2条2項)