2026年施行の改正法(労務関連以外)(完)

2026年に施行される改正法のうち、労務関連法については既に掲載されましたので、本稿では経営者として知っておくべきその他の分野の法律改正をまとめました。

1.中小受託取引適正化法  2.受託中小企業振興法  3.不動産登記法  4.労働安全衛生法(以上前号まで)  5.流通業務総合効率化法  6.著作権法  7.建物の区分所有等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律等

5.流通業務総合効率化法(2026年4月1日施行)

(1)主務大臣が指定する一定規模以上の物流事業者および荷主(「特定事業者」)は、物流効率化に関する中長期計画の作成および定期報告等が義務付けられます(37条、45条、55条、64条)。

(2)特定事業者として指定された物流事業者・荷主は、物流効率化措置に関する中長期的な計画を作成し、主務大臣に提出し(38条、46条、56条、65条)、指定を受けた翌年度以降は毎年度、物流効率化措置の実施状況を主務大臣に報告しなければなりません(39条、48条、57条、67条)。物流効率化措置の実施状況が著しく不十分な特定事業者は、主務大臣による勧告・公表・措置命令の対象となります(40条、49条、58条、68条)。

(3)特定事業者のうち特定荷主及び特定連鎖化事業者は、その指定を受けた後、速やかに物流効率化のために必要な業務を統括管理する者(=物流統括管理者)を選任しなければなりません(47条、66条)。物流統括管理者が統括管理すべき業務としては、物流効率化措置に関する中長期的な計画の作成や、物流効率化に取り組むための体制整備などが挙げられます。

6.著作権法(2026年4月1日施行)

著作権法には従来から「著作権者不明等の場合の裁定制度」が設けられていますが、要件である「著作権者等が不明である」という事実を担保するに足りる程度、著作権者等を探すための努力を行う必要があるなど、制度利用のハードルが高いことが指摘されていました。こうした課題に対応するため設けられた未管理著作物裁定制度(67条)は、「著作物を利用する際には、権利者の許諾を得る」という原則を保ちながらも、利用者が「利用の可否に関する権利者の意思を確認できない場合」に、権利者の意思確認のための一定の手続を踏み、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料に相当する「補償金」を支払うことで、最長3年間、著作物等を適法に利用できるようになる仕組みです。他方で、権利者が「自分の著作物等が裁定により利用されている」と分かったときは、利用者から支払われた補償金を受け取ることができます。

未管理著作物裁定制度の対象となるのは、著作権等管理事業者により管理されておらず、利用の可否に関する権利者の意思が表示されていない公表著作物等(「未管理公表著作物等」)です。すなわち、著作権等管理事業者に管理されているか、権利者の意思が表示されている場合(「無断転載禁止」等の利用ルールが明記されている場合や利用に関する協議を受け付ける意思及び連絡先が示されている場合)は、「未管理公表著作物等」に該当せず、制度の対象外になります。

こういった利用ルールや意思及び連絡先が表示されておらず「未管理公表著作物等」となるもののうち、権利者への意思確認措置を利用者が行ったにもかかわらず、意思を確認できなかったものが、本制度の対象になります。この意思確認措置として、利用者は、利用に関する協議を受け付ける意思を伴わない連絡先(「お問合せはこちら」等)に連絡し、14日間応答がなければ、本制度の対象となり得ます。また、上記のような意思が表示されておらず、かつ連絡先が何ら示されていない場合も、本制度の対象となり得ます。

これに加えて、著作者が利用を廃絶しようとしているような事実(例:著作者が発行された出版物を回収した)が無いことも必要です。

詳しくは「裁定の手引き」をご覧ください。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/tyosakubutsu/pdf/94304601_01.pdf

7.老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律(原則として2026年4月1日施行)

建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンションの建替え等の円滑化に関する法律等を一括して改正するものです。

このうち、2026年4月1日施行分には、集会の決議の円滑化、管理業者管理方式への対応、マンションに特化した財産管理制度、新たな再生手続の創設等、隣地等を取り込んだ建替等の推進、高さ制限の緩和、危険なマンションへの勧告等(財産管理制度関係)が含まれます。

詳細は「マンション関係法改正の概要」をご覧ください。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001909545.pdf