契約書の基礎知識(共通事項編)(その3)

契約書は、当事者間の権利義務の内容を定めてこれを証明する重要な書類です。以下では、契約書に共通して定められる条項について解説します。売買契約、役務提供契約、賃貸借契約等の契約タイプ毎に固有な条項については、別稿で解説する予定です。

1.支払 2.秘密保持 3.善管注意義務 4.費用の負担 5.表明保証(以上前号まで) 6.反社 7.解除/解約 8.期間 9.損害賠償 10.準拠法 11.管轄裁判所

6.反社

相手方が反社会勢力であることが判明した場合に直ちに契約を解除できるようにするための条項です。暴力団対策法で暴力団やその関係者による不当要求を禁止し、暴力団排除条例で暴力団や判社会勢力との取引や関与を禁止しているため、万一相手方が反社会的勢力である場合には契約を解除できるようにしておく必要があります。反社条項を定めることによって無催告解除(催告を伴わない即時解除)が可能となるため、反社条項を定めることが推奨されています。

条文の記載例は以下の通りです。

1.甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。 ①自らが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。その後の改正を含む。)第2条で定義される暴力団、指定暴力団、指定暴力団連合、暴力団員若しくはこれらの関連者、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下、総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと ②自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)が反社会的勢力ではないこと ③反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結するものでないこと 2 甲又は乙について、次のいずれかに該当した場合には、相手方は、何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる。 ①前項第1号又は第2号の確約に反する申告をしたことが判明したとき ②前項第3号の確約に反し本契約を締結したことが判明したとき

7.解除/解約

契約関係からの離脱できるようにするための条項です。いかなる場合に契約を解除できるか(解除事由)、解除の手続、解除の効果について定めるのが一般的です。解除事由としては、重大な債務不履行・義務違反、表明保証の重大な違反、法的倒産手続の開始、取引の前提条件の不成就等があります。解除の手続については、書面による通知後相当期間何に解除事由が治癒されない場合に解除できる(催告解除)というのが原則ですが、以下の場合には無催告解除も認められます(民法542条1項)。

一 債務の全部の履行が不能であるとき。 二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。 三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。 四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。 五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

解除の効果としては、解除後も効力が残る規定(秘密保持条項、損害賠償条項等)の確認、解除後の各当事者の義務(返還義務等)を記載します。

契約解除は民法の規定に従って行うことも可能ですが、解除条項を定めることによって解除事由や手続・効果が明確になるため、これらについて紛争が生じることを防ぐことができます。

なお、解除は遡及して契約を無効にするのに対し、解約は(賃貸借のような継続的契約において)将来に向かって契約が無効となるという違いがありますが、必ずしも厳格に使用されていないように思われます。