どうやって新型コロナ禍に中小企業は立ち向かうか
中小企業がこの未曾有の危機を乗り越えてさらなる成長を遂げるためには、どのようなシナリオを想定し、どのようにビジネスに反映すべきでしょうか?
1.景況感には分野間で大きなバラつきがある
中小企業の景気回復の実感については、改善がみられる分野とそうではない分野(宿泊・飲食サービス業界等)の2極化が進んでいる。
2.ワーストシナリオに備える
楽観的な見方:経済活動水準はまもなく回復する。
ワクチン接種による陽性率/重症化率の低下、対面型サービス業界の回復、大手企業の回復による中小企業のビジネス環境の改善、消費水準の回復
悲観的な見方:経済回復は遅れる。DXを中心とした構造的変革が一気に加速する。
非製造業の対面型ビジネスは回復しない。合理化に向けて企業合併や業界再編が加速する。サービス業の低賃金化と失業率の高止まりが起きる。
経営者としては、ワーストケースも視野に入れて対処していく必要があります。
3.売り上げ貢献度の高いものを絞り込み、消費者の行動変容と上手く組み合わせる
コロナ禍という需要減少の長期化の中では、資金繰りが最優先事項であり、キャッシュを効率的に生み出すことが重要である。そのため、売上とコストの両面から生産性の改善見直しが必要です。以下では、売上面の改善に絞ります。
まず、売り上げの構成内容(販売上の重点地域、重要なローヤル顧客、売れ筋の商品、合理的な顧客アクセス方法、売れる時間帯等)を精査し、売上金額と利益に一番貢献するものを特定して、取り組むべき優先順位を明確にします。多面的に売り上げ構造を分析することで、売上と収益に最大の効果を与える最適なマーケティングを検討します。
これに、消費者行動の変化(ネット通販や出張出前サービスの活発化等)と非接触型経済活動の変化(個別ニーズに合致した情報のカスタマイズ化、オンライン教育などで見られる情報の双方向化、オンライン情報と実体験の融合化等)を組み合わせます。
さらに、消費心理や購買行動の変化(人やペットと「つながり」を深めたいという欲求の高まり、リアルタイムに現時点の自分の健康やまわりの安全状態をチェックしたいという健康安全ニーズの芽生え等)を、上手く取り込んでビジネス化することが、重要となります。
4.最後に
最悪シナリオを念頭に置きながらも楽観的態度を持って周囲の人たちを鼓舞していくことが、適切なビジネスマインドです。
経営者は、自社の持つ有形無形のアセットを今一度見直すことで着手すべき優先順位を明確にし、それに目の前で起きている変化と結びつけ、新たなビジネスチャンスを発見し、今の苦境を乗り切る。当社として最大の声援と支援をおくりたいです。