2024年成立の改正法まとめ

2024年に成立した法律をまとめました。対応すべき点がないかご確認ください。

1.重要経済安保情報保護法(2025年5月までに施行)

新たなセキュリティクリアランス制度が創設されました。詳細は別稿「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(セキュリティクリアランス法)の概要」(2024年11月25日)をご覧ください。

2.産業競争力強化法改正(2024年9月2日施行)

戦略的国内投資の拡大と、国内投資拡大に繋がるイノベーション・新陳代謝の促進を目的として、特定分野の国内投資に関する優遇的税制措置や中堅企業・スタートアップに対する集中支援等の措置が導入されました。

3.育児介護休業法改正(主に2025年4月1日施行)

① 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、② 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、③ 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等を内容とする改正が行われました。詳細は別稿「育児介護休業法改正(令和7年4月施行)」(2024年9月16日)をご覧ください。

4.社会保険の適用拡大(2024年10月1日施行)

1週間(又は1ヶ月間)の所定労働時間が同一事業所の通常の労働者の1週間(又は1ヶ月間)の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は、社会保険(厚生年金保険、健康保険、介護保険)の適用対象外です。例外として、①常時使用される従業員が101名以上であり、②週の所定労働時間が20時間以上であり、③所定内賃金が月額8.8万円以上であり、④2ヶ月を超える雇用の見込みがあり、⑤学生ではない場合は、社会保険の対象となります。2024年10月1日施行の年金制度改正法により、上記①の要件は常時101人以上から常時51名以上となります(健康保険法附則(平成24年8月22日法律第62号)46条12項、厚生年金保険法附則(平成24年8月22日法律第62号)17条12項)。事業者が社会保険の適用対象者であるにもかかわらず、正当な理由もなく社会保険の保険者に届出を行っていない場合には、罰則を科される可能性があります(健康保険法208条1号、厚生年金保険法102条1項1号)。

5.雇用保険法・子供子育て支援法改正(主に2025年4月1日施行)

多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等や共働き・共育ての推進等を目的として雇用保険制度の以下の点が改正されました。詳細は別稿「雇用保険法・子供子育て支援法改正(主に2025年4月1日施行)」(2024年12月9日)をご覧ください。

(1)雇用保険の適用拡大(2028年10月1日施行)

(2)教育訓練やリ・スキリング支援の充実(一部は2024年10月1日、2025年10月1日施行)

(3)育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保(一部は2024年5月17日)

(4)その他の雇用保険制度の見直し

(5)生後休業支援給付の創設(2025年4月1日施行)

(6)育児時短就業給付の創設(2025年4月1日施行)

6.情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)改正(2025年5月17日までに施行)

旧プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律)の名称が変わったほか、誹謗中傷被害を効果的に防止するため、大規模特定電気通信役務提供者(大規模特定電気通信役務を提供する者として総務大臣に指定された事業者)(2条14号・20条1項)(大規模なSNSや匿名掲示板の運営事業者等)に対して、以下の義務が定められました。

① 総務大臣に対する届出(21条1項)
② 被侵害者からの申出を受け付ける方法の公表(22条1項)
③ 侵害情報に係る調査の実施(23条)
④ 侵害情報調査専門員の選任・届出(24条)
⑤ 送信防止措置の申出者に対する通知(25条1項)
⑥ 送信防止措置の実施に関する基準等の公表(26条)
⑦ 送信防止措置を講じた場合の発信者に対する通知等(27条)
⑧ 送信防止措置の実施状況等の公表(28条)

7.建設業法改正(2024年6月14日から1年6ヶ月以内に施行)

建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善・働き方改革・生産性向上を促すことを目的とする改正が行われました。詳細は別稿「建設業法改正」(2024年12月24日)をご覧ください。

(1)労働者の処遇改善(賃金引上げ)

(2)資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

(3)働き方改革と生産性向上(労働時間の適正化・現場管理の効率化)

8.流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法改正(2024年5月15日から1年以内に施行)

2024年からドライバーの労働時間に関する規制が強化されたことによる物流停滞に対処するための物流業務の効率化及び軽トラック運送業における死亡・重傷事故件数増加(最近6年で倍増)の減少を目的とする改正が行われました。詳細は別稿「流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法改正」(2025年1月14日)をご覧ください。

(1)物流事業者・荷主に対する施策(物資流通効率化法)

(2)トラック事業者間の取引に対する施策(貨物自動車運送事業法)

(3)軽トラック事業者に対する施策(貨物自動車運送事業法)